なるべく抜かない治療
2021年11月16日
神保町駅A9出口より3分
新御茶ノ水駅B5出口より5分
小川町駅B7出口より6分
の神保町ガ―デン歯科です。
当院では、なるべく歯を抜かない治療を心掛けています。
あまりに様々なケースがありますが、今回は、先日たまたま定期メンテナンスにいらした患者様の一例をご紹介させて頂きます。
このケースは、外傷で歯根が破折してしまった歯を抜かずに保存したものです。
患者様は、お友達と正面衝突してしまい、脱落した差し歯と、歯肉の痛みを訴えて急患来院されました。
歯の根がバラバラにひび割れて歯肉が腫れています。
このような状況では、歯を抜いてしまって、「ブリッジ」や「インプラント」を選択することも間違ってはいないと思われます。
当日は、詳しい診断ができないため、バラバラの破片を取り除き、仮歯を入れて、ぶつけた痛みが引くのを数日待ちました。
急性の症状が落ち着いた状態です。この状態で患者様と相談です。
出来るだけ「インプラント」等ではなく、抜歯をせず、ご自身の歯を残す事をご希望されました。
但し、このままでは残った歯根に「差し歯」を入れる事は出来ません。
歯肉のてっぺんから5ミリ程深い所まで破折が及んでいます。差し歯を歯肉の中に無理に突っ込んでしまえば、フィットも悪く、
歯肉は常に炎症を起こすことになり、せっかく保存しても調子が悪いか、あるいは短命に終わってしまいます。
そこで、深い位置で破折した歯根にフック状の「矯正装置」をつけて、確実に新しい差し歯が入れられる位置まで、引き上げ、歯を残すことを試みることにしました。
「矯正的挺出」という方法です。
何回か矯正装置の調整を行い、数週間後に装置を外し、歯肉の小さな外科処置が終わった状態です。
深くで破折していた部分もきれいに露出しています。これで通常の修復をする事が出来ます。
セラミッククラウンを装着し、良好に経過しております。
治療から10年後の現在の写真です。
この症例は、神保町への移転前の2012年の治療になりますが、患者様は現在もメンテナンスに継続来院されており、
当該歯も約10年間、問題なくご使用いただいております。
この様なかなり厳しい条件の歯でも、何とか抜かずに済む場合もあります。
わずか一例ですが、出来るだけ保存的な治療を心掛けております。
(但し、抜歯をすることが最良の治療方法であることも多々あることをご理解いただければと思います。)